クレーン車購入
6月のある日、神田さんが深川市へ丸太の買い付けに行くというので
同行させてもらった。
その帰り道、何気なく走っていると、江別の道路脇にクレーン車が展示してあった。
助手席に座っていた私は、
「あっ、クレーン車が75万円!」
と叫んだ1秒後、車は右ウインカーを出していた。
私も神田さんも、75万円ならどうせ状態が良くないだろうと思いつつも、
とりあえず見てみることにした。
車を降りて遠くからみると、外装はきれいそうだ。
もう少し、近づく。
やはり、外装はきれいそうだ。
ちょっと期待感が湧いてきた。
素人の私は、昭和53年式、走行距離52,000㌔、車検切れの4.9㌧の
きれいなクレーン車であることしか分からなかったが、
玄人の神田さんは油圧系統を調べだした。
作動油が漏れているところは見当たらず、ホースも損傷が無く、状態は良いらしい。
二人とも、ちょっと気に入ってきた。
中古車屋の社長をつかまえ、話をしてみる。
どうやらこのクレーン車は、差し押さえ物件らしく、
以前はある漁港で使用されていたものらしい。
しかも、屋内での使用が多かったため、外装も痛んでいないとのことだった。
さらに、1年前に仕入れ、最近までクレーンオペレータの資格を持っている人が、
個人で使用していたらしく、玄人が使用していたので無茶な操作は
していないだろうとのことだった。
益々、気に入ってしまった。
しかし、私には大きな問題があった。
買ったとしても土地が決まっていないので、保管場所がないのである。
とりあえず、社長に明日までに返事をする旨を伝え、その場を立ち去ることにした。
帰りの車の中で、神田さんと相談を始める。
保管場所がないことを話すと、「うちの加工場に置いていいよ」と言っていただいた。
さらに、「使い終わったら、うちで買い取るよ」とも言っていただき、
まさに願ってもない条件が整った。
どうやら、神田さんも気に入っていたようだが、私が見つけたので、
義理をたててくれたように思う。
その夜、家に帰ると、神田さんからFAXが届いていた。
「今日見つけたクレーン車は、掘り出し物だから、是非お勧めします」とのことだった。
嫁に「クレーン車、買ってもいい?」と尋ねる。
返ってきた答えは、意外にも、
「なんで、その場で決めてこなかったの?」
である。
続けて、「どうせ、私が見ても、いいものかどうか分からないもん」。
肝っ魂の座った嫁であることを改めて感じた一瞬であった。
翌朝、中古車屋に電話を入れる。
「買います!」。
6/28の午後、神田商会でクレーン車の到着を待っていると、
仮ナンバーをつけたマイクレーンが厳かにやってきた。
助手席には『御契約車』の札があったので、思わず記念写真を撮る。
環境はどんどん整っていくが、まだ土地が決まっていない・・・。
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